タイトル未定
2009年08月12日
勢いで書いた。反省はしていない。
SSを読んでいたら書きたくなった病が発症したのでなのはSSを書いてみました。
ジャンルとしてはオリ主、STS編終了直後です。馬鹿な主人公が書きたくて書きました。
尚、私はアニメ本編を一度も見ていませんので、ツッコミどころ満載な設定だと思われますが、ネットでwikiとか目を通してはいるので、それなりに大丈夫だと思いたいなあというのが本音です。
……多分無理だけど。
あと、キャラを掴むための練習としての割合が八割ぐらいです。ここ重要。
それでも大丈夫という人が目を通してくださると幸いです。
連載まで行くかどうかは不明。かけるところまで書いて見ようと思います。
では。
続きを読むで、始まります。
SSを読んでいたら書きたくなった病が発症したのでなのはSSを書いてみました。
ジャンルとしてはオリ主、STS編終了直後です。馬鹿な主人公が書きたくて書きました。
尚、私はアニメ本編を一度も見ていませんので、ツッコミどころ満載な設定だと思われますが、ネットでwikiとか目を通してはいるので、それなりに大丈夫だと思いたいなあというのが本音です。
……多分無理だけど。
あと、キャラを掴むための練習としての割合が八割ぐらいです。ここ重要。
それでも大丈夫という人が目を通してくださると幸いです。
連載まで行くかどうかは不明。かけるところまで書いて見ようと思います。
では。
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第一話『十年振りの再会って言うと綺麗だけど、やってる事はどうしようもないね』
件名:機動六課出向
差出人:フォルツァ隊長
本文:
お疲れさん。お前、明後日から機動六課出向な。
以上。詳細は後日送る。
「なん……だと?」
勤務を終えて、ふと端末を開いて見ればそんなメールが届いていた。
どういう事だ畜生。
決定事項みたいだからどうしようもないけどな!
翌日。
機動六課。
正確には古代遺物管理部機動六課と言うのだが、俺こと鈴木準はそちらに出向する事になったらしい。
しかし、何故俺なのだろうかとは思う。自分で言うのもなんだが、確かに一般の魔導師と比べてしまえばランクは高いほうではある。あるのだが、それでもギリギリAランクに届くか届かないかと言った程度。それも、魔導師として生きる事を決めてから全く成長していない、ある意味駄目な魔導師。
魔力の成長という概念が欠落した人間を欲するには、機動六課という部署は少々きな臭くもあり、灰汁が強くもあった。
「とまあ、自己嫌悪を交えつつ否定と疑惑で捉えてみたものの、六課ってどんなところなんだ?」
管理局員としてそれはどうかと我ながらツッコミを入れてもいいかもしれないが、生憎と俺は他所の部署や他所の事件に余り関心を示す事はない。だからこそ管理局員の中で一般常識と成りつつある機動六課という部署の知識が欠落していた。というよりも自分の仕事に集中していればそんな暇も無い方が普通な気もするが、部隊の仲間たちは六課の存在を普通に知っていた。そんな知識を仕入れるぐらいなら自分の仕事をもっとこなしてくれと思う事はあるが、今更そんな事を咎めても仕方なかった。
なので、俺は六課にどんな人間がいて、彼らがどんな仕事をしているなんて知るわけもない。
今日はそれをほんの少しでも知るために久し振りの休みを利用して六課の本部に向かっていた。六課のこと知りたいのなら部隊の仲間の話を聞けばいいのかもしれないが、生憎と仲間たちは仕事中なので流石にそれは憚られた。何故って、今現在俺が所属している部隊はジェイル・スカエリッティなる犯罪者が地上本部や本局をメチャクチャにしてくれた所為で、大混乱中で絶賛修羅場中なのだ。ていうか昨日まで俺も修羅場真っ只中にいた。左半身で苦情処理しながら右半身でデータ処理ってどういうことだよ。更に地上本部復興業務って。過労死させる気か俺を。自分で言うのもなんだが、部隊内で一番仕事してたんじゃなかろうか、俺。
そんな中機動六課への出向。給料良くなかったら止めてるぞ俺ぁ。
多分。
兎も角、久し振りの休みと言うか、出向準備期間を利用して俺は機動六課の本部へ向かっていた。本当に久し振りの休みなのは気にしない。気にしたら泣きたくなるからだ。
ここ三ヶ月まともな休みを貰った記憶がないんですが畜生。金貰えるとはいえ休みなしは嫌だ!
そんなしがない管理局員。もとい俺の愚痴はさておいて。
「あー、えー、げふん。ここの隊長と面会出来ますか?」
色々と下らない事を考えながら辿り付いた六課の本部。受付のお姉さんたちの美しさに声を掛けたくなるのを自重して、六課の隊長と面会出来るかどうか訊ねてみる。どうでもいいがアポイントメントなど取っちゃいないし、今日来ることすら相手方には伝えていないので恐らく断られるだろう。正直なところ、六課の事を調べに来たとは言え、最低限の情報は得る事が出来たのでこれで帰ることになっても構わないのだ。
因みに最低限の情報とは、自宅から六課までの道程。
正直、勢いに身を任せてきたのだが、そろそろその熱も冷めてきた。具体的には家に帰ってゲームやりたいとか資格の勉強したいとか、趣味の時間に費したいとかそんな願望が湧いてきたのであった。
「あ、お話は伺っております。では、こちらへどうぞ」
「は?」
なので、受付のお姉さんのその返事に素っ頓狂な声を上げてしまったのは仕方ないと思う。というか、話を伺っているとはどういうことなのだろうか、話をしたのは現在で、過去に話を通した覚えはない。ていうか事実を知ったのは昨夜で、昨夜は寝る前にメールを見たぐらいだ。にも関わらず、どういうことなのだろうか。困惑しながらも今更引くにも引けず、お姉さんが案内をしてくれると言う事なので素直についていく事にした。ていうかお姉さんの尻に目が釘付けな俺である。
(ふむ……これは安産型だな、素晴らしい。安産型の意味知らねぇけど)
どうにもこうにも、女性のケツを眺めながら前を歩く女性の会話に適当に合わせる俺。別に不良局員のつもりはないが、こういうときぐらいじゃないと管理局に勤める質の高い女性の尻を眺める機会などありゃしないのだ。俺の品位や性格が落下の一途を辿ったが、細けぇこたぁ気にすんな!
「鈴木陸曹長、こちらです。私はこれで」
「むふ……失敬。案内ご苦労様です……でもなかった、案内ご苦労…………もキャラじゃないので今度デートに行きませんか……ってもういねぇし」
彼女に返す言葉に悩んでいる間に案内してくれた受付のお姉さんの姿はそこにはなかった。下手したらセクハラする上官(階級章を見る限り、俺の方が上だった)だが、その辺りは気付かれないように視線を移していたので問題ない。相手に嫌悪感を抱かせる眺め方をしない方法を編み出しているのだから。
客観的に見ればセクハラしてるじゃねぇか突っ込まれるかもしれないが、相手がセクハラだと思わなければそれはセクハラじゃない……っていうか何でこんな話をしているんだろうか。
しかも、六課の隊長がいる執務室の前で。
「はぁ……」
自分に呆れるのも飽きるぐらい繰り返してきたが、こういう自分が嫌になる事はないのだからいいのかもしれない。単に夜寝たら忘れてるだけかもしれないけども。
そんなどうでもいいことは置いておいて、どうしようか。いや、普通に考えたら普通に部屋に入って機動六課の隊長さんと給料や休憩や休日の事について話さなくてはならないのだが…………うん、何もおかしいところはない。勿論、仕事のことは後回し。内容が激しいのはもう諦めているのだから。こんな中途半端な時期に呼ぶぐらいだ。両極端に分かれているに違いない。
ただの勘だが。
それも更に置いておいて。
果たしてどうしたものか。まさかこんなにすんなりいくとは思っていなかった。ていうか受付のお姉さんに話が行っている時点でおかしい。誰だ、俺の行動を先読みした奴は!
「…………思い当たりが多すぎる」
本当に多すぎた。数にすると15名ぐらいか。なんだ、俺ってそんなにわかりやすいキャラしてるのか。してるんだろうなあ、じゃなかったらこんなにスムーズにいかないだろうし。
ならばなってしまった以上、やるしかないのが俺。いや、誰でもやるだろうけども。
しかし、なんて声を掛けて部屋に入るべきなのだろうか、俺。
スタンダードに『失礼します』?
いやいや最初はインパクトが大事だろうし『頼もー』?
それとも『鈴木準、推して参る』?
はて、どうしたものか。
結論は如何に!?
『扉の前の人、変な事悩んでないで入ってきてえーで?』
「あ、はい、えと……すみません、失礼します」
チキンな俺を許してくれとは言わない。だってまさかあっちから声を掛けられるとは思わなかったんだもの。もう少し心構えがあればもっと奇抜で独特な発想が思い浮かんで……結局行動には移さないんだろうな俺。ビビりだし。
「先程は失礼しました。鈴木準陸曹長…………って、あれ?」
素直に挨拶を交わすべく、相手に視線を合わせながら敬礼をしようと思えば何処かで見覚えのあるような顔がそこにはあった。
こちらに来たときに顔を合わせた記憶がないような気がしないでもないが、正直十年前の記憶など半ば薄れつつあった。
過去の記憶もいつかは色褪せるものとは言うが、今の状況が正にそれだった。
過去の決意は未だに自分の中にはあるのだが、はてさて。
「えっと、ぶしつけで申し訳ありませんが…………陸佐殿、自分と貴女は何処かでお会いした事がありますか?」
わからない事は素直に聞く。それは過去に出会った事のあって、それが思い出せない相手にする事ではないのかもしれないが、手遅れになるよりはマシであった。
「十年前……で、少しは思い出さへんか?」
十年前までは思い出してんだよ。とは突っ込まなかったのは偏に相手の階級が桁違いだからなのと、綺麗な女性だったからに過ぎない。ある程度親しくない限り、俺もそこまで馬鹿は出来なかった。給料的な意味と好感度的な意味で。
「申し訳あり…………あれ?」
さっきは思考に没頭して気付かなかったが、この女性の喋り方は変だ。いや、変というのも変だが関西地方によくある訛りだった。不思議と耳に馴染むその訛りと隊長の顔を組み合わせて十年前を省みてみる。
…………。
……。
「八神………………か?」
「そや、準君。久し振りやな」
妙に間が開いたのは、名字しか思い出せなかったからなのだが、隊長――――八神はそれを懐古の感情としてくれたようで、小さな笑顔でそう返した。
俺がときめいたのは言うまでもない。
少しだけ不覚。
「あーー……十年振りぐらいか、何やってたんだお前」
「ここで働いとったで?」
「そりゃそうだ。…………十年も経てば、そりゃ見違えるか」
スタイル的な意味で。
「話をするときは目を見て話さんかい!」
「ああ、失敬。ついつい発達した乳とか尻とか脚にしか目にが行かなかったもんで」
「謝罪になっとらん謝罪をしながら目を離さんのはどういうことや。あんまり酷いようやと訴えるで?」
「ふはははは」
しかし懐かしい。前もこんな話題を……………………してたなあ。十年前の俺、何やってたんだよ。
「はぁ……全然変わってへんのやなぁ、準君は」
「俺という存在を変えるには記憶喪失させるしかないんじゃね?」
「それでも意味なさそうな気がしてならへんよ」
「俺もそう思う。麗しい女性のシャワーシーンを眺めてしまった日には即座に彼女になってくれませんかと申し込む自信がある」
「フラれてオチが付くんやろ?」
「うるせぇっ!」
どうしようもない会話だったが、そんな会話をしていると過去の記憶が連鎖反応を起こしたかのように徐々に湧き上がってくる。
車椅子の少女。胸がでかい二人の騎士。犬っぽい狼の騎士。男のロマンを詰め込んだハンマーロリ騎士。
……何も言うまい。
「っと……久し振りの再会に言葉が砕けてしまいました」
「…………キモっ」
「喧嘩売ってんなら買うぞ、買っちゃうぞ?」
「半分冗談や。でも、ウチの部隊はそうまで堅苦しゅうしとらんし、事情も部隊のみんなに話しとくから普段の準君の話し方でえーで?」
「そりゃ助かる。昔馴染みの奴らに丁寧語を使うとなると、自分が情けなくてお前の胸を掴みたくなる」
「やれるもんならやってもえーで。やれるもんならな?」
うん、無理。
俺の社会的地位が脆くも崩れ去っちゃうから。
やりたいけどな!
「ところで」
「なんや?」
意図的に話を切り替えて、改めて本題を訊ねることにする。
「何で俺呼ばれたんだ?」
本当は仕事の事とか訊ねるつもりだったのだが、口から出てきたのは素朴な疑問でしかなかった。どうも八神と話しているとどうでもいい事ばかりに口が動いてしまう。まあ八神相手だしそんなもんだろうと納得する事にして、
「えーやん別に、どーせ武装隊でも爪弾きにされてるんやないの?」
「そんな事実はないっ!」
勝手に納得した結果がこれかよ!
「どーせ通信士とかにセクハラしたりして嫌われたりしてたのとちゃうん?」
「事実を改変して誇張されたらもうどうしようもねぇよ!」
「…………」
「何をさもお前の言ってる事が正しくて、俺を蔑むような顔してんだコラ。喧嘩売ってんのか、買うぞ。買っちゃうぞ。限定解除申請してまで買っちゃうぞ?」
解除するほどランク高くないけどな!
Aランク。
凡人ではないのだ!
十年前から成長してないけどな。
誰が成長しない男だ!
「さておき、こっちの本題に入ろか」
「さておきで片付けんなよ! もういいよ帰るもんね! 自分で言ってて気持ち悪いなオイ」
小さく身震いして自分の台詞をもう一度脳内で反芻してみる。気持ち悪いが、キャラにあっていると納得してしまった。所詮俺はギャグキャラだよ!
「明日より鈴木準陸曹長は、機動六課に配属される事に――――」
「だが断る!」
「…………」
「おーけー。今のは……今のも俺が悪かったから続けて下さい八神二等陸佐及び、機動六課部隊長。本日より私は貴方の手となり足となり馬車馬の如く働かせていただきますので給料上げろ」
「――――いっぺん、死んでみる?」
「俺がこういう堅苦しいやり方が好きじゃないの知ってんだからいいじゃん」
「……武装隊にいたときはどうしとったんや?」
「真面目に聞いてるフリを。あっちも俺がどういうキャラなのかをわかってたみたいで、後でぶん殴られるだけで済んだ」
「……何をやっとったんや」
呆れられた。
「勿論やり返したけどな!」
「イイエガオヤナー」
「さておき、話を戻そう」
「なんや、一体」
「何故俺を呼んだし」
「ウチの面子は知っとる?」
「知らんが……まあ、想像は付いたというよりも察した」
閃いたともいうのだが。
「答え合わせしてみよか?」
「では僭越ながら……すぅーっ」
「なんで深呼吸するんよ……」
目標は一息で言い切りたいが、まあ無理だろう。
「手段が肉体言語ならぬ砲撃言語な白い悪魔こと高町脱げば脱ぐほど強くなる金色の脱衣魔テスタロッサある…………すぅー……歩くロストロギアと思いきや乳を揉むのが好きな親父臭いお前! 以下略」
無理でした。
で、怖い目でこっち見るな八神。
「……それをたった今思い付いたのか、前々から思っていたのかによって、私の態度も変わるで。親父臭いのところだけやけど」
「……高町とテスタロッサについて反論はしないのな」
「無理やもの」
ですよねー。
「やのうて!」
「結構噂になってんぞ、何やってたんだおま…………お前を除く二人」
「なんで私には聞かんの?」
「お前のは俺が考えただけだ。さすがにお前の悪評もとい、変な噂を立てるとマズイと思ったんだろ。立場的な意味で」
「っ、それ言うたら二人もやんか!」
「あの二人は噂とかに踊らされないというか、聞くような環境じゃなさそうだし。仕事大好き人間だもの」
「…………」
「凹むフリをするな。先に言っておくと、お前がこれぐらいで凹むような性格じゃないのはある程度知ってるからな」
「もーええわ。じゃ、今日からよろしくな、準くん」
「了解……ってオイ、俺が呼ばれた理由は!」
「ぶっちゃけると、強い奴ばっか集めすぎたからやね。私も資料取り寄せてビックリしたんやけど、十年前からランク変わっとらんのやな?」
「やっぱ喧嘩売ってんだなオイ。買うぞ。やっぱり買うぞ」
「じゃあ五万で売ったるよ」
「生憎と今は懐が寂しいので、帰ります。帰るよばーかばーか!どーせ俺は成長しない男だよ畜生! 仕事の詳細は後日ううううううう!」
「気ぃつけてなー」
どうでもいいが、八神の名前ってなんだっけ。
馬鹿なやり取りを終え、執務室を出た俺が思ったことはそんな事だった。
俺が八神の名前を思い出せていないことを、八神が気付いてしまうとそれはもう後で大変な目に合いそうな気がするので、今のうちに思い出しておきたいところだった。最悪の場合、自室に帰ってから機動六課の資料を眺めればいいだけなのだが。
しかしなんだっけか、八神の名前。一回か二回ぐらいしかあいつの名前を呼んでいないので、仕方ないと言えば仕方ない気がするんだが。
「準君?」
ヤバイ、真面目に思い出せない。高町やらテスタロッサがアイツの名前を呼んでいたシーンを思い出そうとしても出てこない。
いや、確か”は”が付く名前だった筈だ。ていうか高町とテスタロッサで気付いてしまったが、二人の名前すら思い出せない。いや、管理局にいる身としてこの二人というか特に前者の高町の名前すら思い出せない俺はどういうことなのだろうか。管理局のエースの名前が出てこないと言うのはかなり拙いのではないだろうか。悪評というか変に揶揄った通り名的なものは覚えているというのに。
「鈴木準君?」
と、そんな自分の馬鹿さ加減に悩んでいると、後ろのほうから可憐な美少女ボイスが耳に入る。
誰だ、後姿には定評のある俺に惹かれた美少女か。いや、そうだろう。
ならば。
「夜の生活を前提に俺と付き合って下さい!」
「……………………」
見覚えのある髪型、頭髪の色、顔立ち、その胡散臭い人を見るような目。
どう考えても、昔馴染みの人。
というか、管理局のエースだった。
「……えっと、十年前に大活躍された高町さんでせうか?」
うん、ジト目で見られるのはわかってた。
わかってたけど、まさか知り合いだとは思わなかった。
「ねぇ、準君」
「なんだ、高町」
「……今の台詞は何かな?」
「そのままの意味ですが、まさか高町だと思ってなかったので」
「…………」
いやはや、しかしながらどうしよう。高町の名前を思い出せないうちに再会するとは。
ボロが出ないように上手く会話を繋げたいが、はてさて。
「準君の……」
「……事を愛してる?」
「バカじゃないの?」
「成長したというべきか」
十年前の高町だったら顔を赤くしてこちらをポカポカ殴ってきていたんだが。流石にそれをするような年頃ではないと言う事か。少しばかり悲しいような、ありがたいような、複雑な感覚だった。
それにしても、高町も高町でいい感じに成長したものである。主に胸とか胸とか胸とか。
是非モミモミさせて頂きたいものである。むしろその胸で俺の顔を挟んでもらいたい。というか脚を触りたい。尻で顔に乗っかってもらいたい。というか触ってもいいかね。
したら物理的に死ぬのでやらないけど。そういう時は妄想で補うのが正しいのである。
「……なんか準君の目がいやらしい気がするんだけど」
「二十そこそこの若造の視線などそんなもんだ。気にしたら負けだぞ高町」
「目を見て話そうよ。幾らなんでも酷くない?」
「いやいや、小生は小心者なので女性の目を見て話すなどとてもとても」
「露骨に胸とか見ながら話すのは違うの!?」
「ぬははははは、眼福眼福」
とはいえ、これ以上見続けるとそろそろ高町に制裁を受けそうで怖いので、母性を司る豊満な山から目を離す。無論、その大きさは脳内にある眼福フォルダに名前を付けて保存しておく。相変わらず名字しか思い出せないので”Takamachi”なのだが、まあ閲覧する分には問題無いので気にする事はないのだが。
少しだけ、”Takamati”で登録するか”Takamachi”で登録するか迷ったのは余談でしかない。
「すっごい久し振りなのに……準君ってこんな会話しか出来ないの?」
「無理無理。俺に真面目となれというのは、管理局の制服がレオタードに変更になるぐらいに無理。あ、無論女性限定でな」
最底辺を見てしまったかのように呆れた溜息を漏らしながら高町がそんな事を言うが、無理なものは無理である。どっかに拉致されて心神喪失やら記憶操作とかされない限り無理だと思う。それでも麗しい女性の素肌を見てしまえば元に戻る自身がある。
ていうかさっき言ったなコレ。
改めて自分の性格を省みると、死んだ方がいいんじゃないかと思う時が無い事もない。
「ああ、お前は知ってると思うけど、俺明日から機動六課に配属される事になったから。コンゴトモヨロシク」
「え、本当?」
その反応から察するに、どうやら俺がここに来るというのは余り知られていなかったらしい。いや、八神のことだから単純に話していないだけかもしれない。あの女、こういうことしそうだし。
「残念ながらこれが現実なのよね。色々と問題のある同僚が出来てしまって真に遺憾だろ?」
「自分でわかってるならなんとかしようよ……」
「やなこった。ま、仕事中はそれなりに真面目になるから大丈夫だって。仕事中で仕事の無い時は保障出来ないが」
「なんで!?」
「仕事は真面目に、暇になったら暇をなくす。それが俺の勤務時間におけるポリシー」
「素直に聞くなら悪くないポリシーなんだろうけど、準君が言うと駄目にしか聞こえないよ」
「はっはっは」
そう言ってるからな。
「まあ準君は上司権限で何とかする事にして」
「給料が下がるなら屈するので、覚えとけ」
「はぁ……。それは置いておいて、準君の配置は何処になるの?」
「その辺りの詳細は明日だな。出来れば仕事が楽で時間を気にしない所がいいんだが。少なくともお前の部下は嫌だな」
「本人を目の前にして、良くそういうこと言えるよね?」
「お前の暴走を尻拭いするのは勘弁願いたいと言ってるんだが?」
物理的に尻を拭うなら、やりたいんだがとは勿論口に出さない。
勿論素手で拭ってやる。トイレの後は勘弁だが。じゃあ何の後だと言われれば、それは秘密である。
いや、正確には前も後もなんだが。
「う……」
「お前は話し合いで解決しようとか言いながら最終的にぶっ放すからな」
「ぅ……」
「否定できない辺り、お前。この数年の間でも色々やったのか?」
「しょ、しょうがないんだもん!」
何やったんだコイツは。
「事実かよ。まあいいんだけどよ、今度は事務仕事がやりたいかな」
「今度はって、そういえば今まで何処にいたの?」
「何処っていうと……色々いたからなんとも言えないんだが。まあ単純に前にいたところっていえば武装隊か」
「へぇ…………」
「と、いっても通信士だったり現場だったり色々やってたが」
「へ?」
「いや、なんでもない」
出来れば通信士とか内勤がいいなあ、とは思う。普通と言えば普通なのだが、肉体労働系は仕事が終わって家に帰るとすぐに眠りたくなるときがあるからだ。その代わり、通信士は通信士で色々と大変なのだが……まあ精神的なものならばある程度大丈夫なので出来ればそちらに回してもらえるとありがたかったり。
「そういや、俺のランクってどうなるんだろうか。制限ランクオーバーしないか、ここの部隊」
「大丈夫じゃないかな。私とかフェイトちゃんとかリミッター掛けてるし」
「フェイト……テスタロッサか」
よし、これで一人名前を思い出した。そういえば、フェイト・テスタロッサって名前だった。
これをきっかけにどんどん名前を言ってくれると助かる。
「ま、それでいいなら構わないんだけどさ…………あの事件、大変だったな」
「うん……」
あの事件とは、ジェイル・スカエリッティによる広域テロ事件である。詳細を知らないのでなんとも言えないのだが、兎に角大変だったろう事だけは推測できる。何せ、機動六課の隊舎も一度壊滅して、アースラに本部を移していたぐらいなのだから、相当なものなのだろう。
「あ…………っていうかお前、今療養中じゃねぇのか?」
「……あ、あはは?」
「笑って誤魔化してんじゃねぇよ馬鹿。どんだけ仕事好きなんだ、お前ら。最前線にいたお前らが休まないでどうすんだ」
「でも、あの事件が終わった直後だし、私だけ休んでるわけにも行かないし……」
確かに。確かに大規模な事件であったが、あくまで一つの事件に片が付いただけ。事件などそれこそ毎日起きているようなものだ。勿論、全ての事件を機動六課が対応するわけではないのだが、もしもと言う事もある。
とはいえ、それを言い始めたら何も出来なくなってしまう。その辺りをわかっているのだろうか、コイツ。
訂正。
コイツ”ら”。
「じゃあ何か、お前らは俺の仕事を奪う…………どんどん奪っていいや、うん。働けお前。俺の勤務時間を趣味で潰す為に」
「そう言われると素直に休みたくなるの」
「お前が休んでる間にロストロギア絡みの事件が起きたりして。むしろ起きるんじゃね?」
「準君が私を休ませたくないのか休ませたいのかわからなくなってきたよ……」
「冗談はそれぐらいにして、偶には休めよ。肉体的に酷いんだったらマッサージしてやるし」
勿論、いやらしい手つきでやらせていただきますが。
「…………」
「じゃ、また明日。高町一等空尉殿」
「本当に変わってないなー」
うっさいわ。
※※※
高町と分かれた後、腹が減りつつあるのに気付いた俺は食堂に向かう事にした。とはいえ、ここの食堂が何処にあるのかわからないので、誰かしらに食堂への道を聞くしかなかったのだが、見事に誰ともすれ違わない。別に道を聞かずとも案内板的なものがあれば助かったのだが、手掛かりになるようなものは全く見つからない。諦めて外で飯を食うという選択肢はあるにはあるのだが、食堂で飯を食うと決めてしまった以上、ここで諦めるのは嫌だ。
「俺の美人センサーが何かを訴えている……だと?」
そんな時、俺の煩悩が何かを掴んだらしく窓の外に視線を向けてみる。
「金髪美女…………これは声を掛けてみるしか」
室内から、というか三階からなので顔を伺い知る事は出来ないが、管理局の女性は美しいとの専らの評判である。というかミットチルダの女性の質が高すぎる気がしないでもないが、そんなご都合主義的なものはどうでもいい。美人が目の前にいれば声を掛けねば失礼なので、俺は窓を開けて外へ飛び降りる。
「きゃあっ!」
「そんな声を上げてどうかしましたかお嬢さん。相談なら美味しい料理が出るお店を知っているのでそちらで伺いますが」
「え……えと……えーと……」
いきなり空から降ってきた男――――というか俺に困っている金髪の美女は突然のことに混乱しているのだろう。あたふたしながら何を言うべきかを悩んでいた。こちらとしてはそれを狙っているのでどうでもいいのだが、はて。どこかで見た事あるような顔な気がしてきたのは気の所為だろうか。
いや、これほどの美女をナンパせずに見逃しているわけがない。この世に生を受けて24年、美しい女性に声を掛けなかったことなど三度ぐらいしかないのだから!
「おっと失礼。申し送れましたが私の名前は鈴木準というものです。管理局に勤めて十年と少しばかりですが、貴方ほどの美しい女性は始めて見ました」
「鈴木……準?」
「もしかして私の事をご存知なんですか?」
手遅れでもあるが改めて自己紹介をすると、先程まで慌てていた女性は途端に大人しくなって俺の顔をおずおずと眺めていた。まるでその様子は誰かと重ね合わせているようにも見えたが、個人的にはそうではないと思いたい。
「準君…………やっぱりそうだ。登場の仕方と声が変わってたからわからなかったけど、こうやって見ると準君だ!」
「……もしもーし?」
「あ、ごめんなさい。フェイト・テスタロッサ・ハラオウンだよ」
「なん……だと?」
また知り合いにナンパしてしまったのか俺は。ていうかテスタロッサだと言われて改めて彼女を見てみれば、確かに小さい頃の面影がある。小さい頃の姿から幼さを削って可愛さと美しさを倍にさせてみれば確かにテスタロッサだった。
しかしそれよりも注目したいのはスタイルだった。というかそっちにしか注目してなかった。もう説明するのもなんなので略すが、もう素晴らしい身体になったものだった。とりあえず変態と言う名の紳士を心がけている俺は胸をまざまざと観察する。……やはりいいものだ。おっぱいは。
「えと……その……」
「なんだテスタロッサ、微妙に恥ずかしがっているような声で」
「露骨に胸ばかり見るのは…………」
「悪い悪い」
「うぅ……」
逆に恥ずかしがられるとこちらも恥ずかしくなってくるのでここら胸を凝視するのは止めておく。ごめん嘘。脳内メモリーに保存できたので止めた、が正解である。我ながら度し難かった。
「さて、久し振りだなテスタロッサ……いや、ハラオウンって呼んだ方がいいのか?」
「ううん、どっちでも構わないよ。あ、でも。最近テスタロッサで呼ぶ人が少なくなってきたから、そっちがいいな」
「そか。ていうか久し振りだな」
「うん。準君は今まで何してたの?」
「何してたの何も、一管理局員として頑張ってたぜ?」
「十年前…………もう、十年も経つんだね。急にいなくなっちゃったから、あの後なのはとかが吃驚したんだから?」
「菜の葉?……菜っ葉がどうして驚くんだ?」
というか何で俺がいなくなったら葉っぱが驚くんだ。確かにあの時は育ててた向日葵を放置したまま管理局に入っちゃったからアレだけども。昔からテスタロッサは天然っぽいところはあったものの、突然そんな事を言われても困る。
いや、そういうことじゃない気がする。というか物凄いボケをしているのは俺ではなかろうか。しかも、在り得ない上に致命的なボケ。
菜っ葉と返した瞬間に目が鋭くなり始めたテスタロッサを見ていると、その予感が的中している気がしてならない。
ヤバイ、なんだ。
菜の葉、なのは……八神なのは……は違う、高町なのは……。
やべぇ、高町の名前じゃねぇか!
「……………………ねぇ、もしかして。名前忘れてる?」
「イヤイヤ、カルイジョークジャネェカ」
ヤバイ。バレつつある。テスタロッサは自分で名乗ったから自分の名前で確認はしてこないだろう。高町もさっき言ったから無い。……となると、八神の名前で確認してきそうだ。思い出せ俺。八神なんだっけ。ヴォルケンリッターとかそういう名前は覚えてる癖に、人の名前を全く思い出せねぇ!?
「……十年前、闇の書を持ってて、足の悪かった女の子の名前は?」
「や、八神だろ。何言ってんだか?」
これでテスタロッサが納得すれば助かる……っ!
何で端末を家に置いてきた俺。
非番だからだよ!
「名前は?」
「八神」
「名字じゃなくて、名前」
「…………」
「な ま え」
閃け俺! ここ数年幾多の修羅場を潜り抜けてきた俺の勘よ、八神の下の名前を閃いてくれ!
ヒントはというか覚えてるのは”は”の付く名前だ。そうそうあるもんじゃねぇ。
はるか、はなこ、はやて……だと男っぽいし、なんだ。は、はの付く名前!
「五秒前、四、三、二、」
「八神はるか…………だろ?」
咄嗟にそれっぽいのを言ってみたが、駄目だ。違う。八神はるかなんてアイツが名乗るのを想像すると違和感しかない。
だが、それを顔に出すのはやってはならない。賭博で鍛えたポーカーフェイスは伊達じゃない。
僅かでも顔に出せば、それを読み取られて負けてしまうのだから……っ!
「うん、幾ら準君だって流石に忘れてるわけないよね――――」
「ったりめー」
「――――なんて、言うと思った?」
「……っ!」
バレた……っ!
いや、まだ挽回のチャンスはある。ここが分水嶺。ここでどうするかを見極めろ!
「全然、覚えて無いんだ。私たちは準君の事忘れてなかったのに、準君は私たちの事ワスレテタンダー」
「ば、ばっか、冗談じゃねぇか。俺がこういう冗談ばっか言う男なの知ってるだろ?」
「――――じゃあ、名前言って見て」
「すいませんでした。どうかお二方には黙っていて貰えないでしょうかテスタロッサ様」
「多分、私の名前も忘れてたんでしょ?」
「いやいや、テスタロッサはさっき高町が言ってたからラッキーと思って」
「やっぱり」
「迂闊っ!」
何でこういうときに限ってスラスラ話してしまうんだ俺!
俺の馬鹿馬鹿!
「オーケー、取引をしようじゃないかテスタロッサ。お前が二人にこの事を黙っている変わりに、俺はお前の欲しいものを買ってやろう」
「…………」
「本当にすみませんでした! 貴女様の言う事に従いますのであの二人には黙っていて下さい!」
「……」
十年振りの再会がこんなんばっかな俺だった。
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はやて並みにセクハラーな主人公×六課の美人&おっぱお率=Hyper Sekuhara Time!! Yeah!!!
続きとかいろいろ気になります。期待!
始めましてw
フリーゲームばっかやってたんですが、コメントを頂いて書く意欲が湧いてきました。では今から書いてきます。個人的な好みはティアナなんですが、キャラががががが(以下省略